「ぷはぁーやっぱ仕事後の酒はうめぇなぁ」
「ああ、まったくだな」
「もう、いつも思うけど君達はちょっと飲みすぎだと思うよ?」
呆れ顔のイスピンは無駄だとは思いながらも男2人に注意を入れる。
「まったくせっかく金が出来たんだから飲まなきゃ始まらないだろ?」
「ああ確かに酒は潤滑液だしな飲まなければ逆に体に悪い」
「ばか・・・」
酔いも回っているせいかマキシミンとシベリンはいつもより意気投合している。
ナヤはそんな3人のやり取りには無関心と言う感じで横目で見て言った。
ここは港町なるびくの酒場マグノリアワイン、洒落た雰囲気が人気のある店だ。
4人は仕事が終わってシャドウ&アッシュで偶然鉢合わせたので一緒に夕食をとる事にした。
このメンバーは仕事でよく一緒になるため割と仲が良いのだ。
いつもと変わらない光景だったがしかしただ一人、イスピンの内心は穏やかではなかった。
あいつをみるとどきどきする・・・いつからだったっけ・・・
あいつの事がこんなにも気になりだしたのは・・・
ぶっきらぼうな口調、ぼさぼさの髪、いつも不機嫌そうな目
どこが良いんだろう・・・イスピンは自問自答した。
でも本当は判ってたんだ・・・口ではキツイ事言ってるけど、
根は悪い奴じゃないって。それにあいつは強い。剣技だってちゃんと学んだ僕より上だ。
彼は独学で学んだらしく殴ってるような斬り方なのに・・・
風の魔法も得意なマキシミンはいつだって前に立ち僕を守ってくれてた。
相棒だから守ってるだけなのかもしれないがそれでも僕は嬉しかった。
いつからか判らないけど好きになってた。
今日なんとかしてチョコをあげるんだ、今日はバレンタインだから・・・
「じゃ俺らは用があるから先に帰らせてもらうぞ」
「ああ、わかった」
そう言ってナヤとシベリンが店を出て行く。
「さて俺たちもそろそろ帰ろうか」
「・・・」
「おーいイスピン帰るぞ?」
その声を聞いてやっと現実に戻った、どうやら長い間考えて事をしていたらしい
「あ・・・シベリンさたちは?」
「もうとっくに帰ったぜ、それより今日のお前なんか変だな?」
「え・・・そっそうかな?そんなこと無いと思うけど」
「ふーん、まぁそれならそれでいいんだが」
そう言いながら僕たちは店を出た。
店外にでるとすっかり夜になっていた、お酒で火照った体をなるびく独特の塩風がやさしく包む
「ふぅ、ちょっと飲みすぎたかな」
「君の場合いつもでしょ!」
2人はそんなくだらない会話をしながら歩いていた。
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